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雪の日に
                                                     神田 あち子

 2月はじめの大雪の日のことです。
 私は雪かきは嫌いなほうではありませんが、日に3回もするとさすがに、『明日は降らないといいな』などと考えながら雪かきをしていました。
 そこへ近所のおばあさんがやってきて、こう言いました。『雪なんてどうせ春になりゃとけるのに、雪かきなんて割に合わない仕事だねえ。』
 確かにそのおばあさんの言っていることはもっともです。冬にどんなに積もったって春になればすっかり雪はなくなります。
 でもその言葉を聞いてなんとなく寒寒とした気がしてしまいました。
 『どうせ春になればとけるのに』という言葉が『どうせ最後には死ぬのに。』と言う言葉と重なってしまったのです。
 春に雪がとけるのと同じように人も必ず死にます。「どうせ死ぬなら、わざわざ苦労して物事をする事はない。」「今のままでも、そこそこ楽しく暮らせるのだから現状を変えようと思う必要はない。」と考えるのも責められることではないような気がします。でもそれだけでいいのかなと思うのです。
 けものみちを歩くよりは、より快適に暮らすために雪かきをします。(もっとも、地域によっては死活問題になるので必要にせまられて雪かきをする事も有りますが。)より良い人間の生のために、生きている間はゴソゴソと、なにごとかをしていたいと思うのです。
 私がこんなに大げさに考えているなんて、声を掛けてくれたおばあさんが知ったら、迷惑に思ってしまうでしょう。
 私は、おばあさんに『あはは、そうですねー。』と言って別れました。



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