板垣 泰さんの書評 燈心TOPページへ
『少年H』
妹尾 河童 著
この本の中には、作者であるH少年が見ていた両親の姿が沢山描かれています。H少年の両親はクリスチャンでした。しかし、両親の信仰についての考え方には多くの違いがあり、絶えず家の中で口論していました。多感なH少年の目にはそれが大変興味深く映っていたようです。
その中の一つに、『踏み絵』について両親が口論している様子が描かれています。H少年の父親は踏み絵を踏んでもよいと考えていました。理由は、信仰は自分の心の中にあるのだから、外見的に踏み絵を踏んでも信仰は変わらないということでした。それに対して、母親はどんなことがあっても踏み絵を踏まないと言い切るのです。理由は、踏めば役人に殺されると考えていたからでした。やがて、H少年も両親共々教会に行くようになり、教会で語られている説教が聞き手によって違った形で受け止められていることに気づきます。そして、その経験を通して人間の考え方に違いがあってもよいと言うこと、それゆえに、両親にも同じ信仰を持ちながら違う考えがあるということを認めるようになっていきます。
ところで、私が実際に踏み絵をさせられるとするのなら、私は踏み絵を踏むのか踏まないのか本当はどちらなのだろうと考えてしまいました。私個人は信仰的に強く立てると思えるときもあります。しかし一方で、裏切っていく弱さを持った私がいることも分かります。本当はそういう問題を持って私は教会に通っています。
この問題を皆さんはどう考えていらっしゃるのでしょうか。